ご褒美は唇にちょうだい
*
「ふうん、そんなことを言ってたんだ」
撮影が終わり楽屋に迎えに行くと、着替え終わった操が缶コーヒーを飲んでいた。
先ほどの小鍛冶青年の話をした時の反応だ。
「でも、それって私とどうこうなりたいじゃないでしょ?共演者として親交を深めたいってことよね」
「さあ、どうかはわかりませんが」
操ののん気な解釈にわずかに苛立つ。
彼女は芸能界で育ったこともあり、恋愛経験もなければ男性経験もない。
「彼がどう考えていようが、あなたがどう考えていようが、二人でいればマスコミは黙っていません。軽率な行動は控えた方がいいですね」
小鍛冶奏には、「大人だから本人に任せる」なんて言っておきながら、操本人にはしっかり釘を刺す。
操はバカではない。この一言で充分だ。
「了解」