ご褒美は唇にちょうだい






最終話の台本を読んだときからわかってはいた。

金曜ドラマ『中天に輝く』の最終話にはベッドシーンがある。
ナイトドラマ枠なので、そこそこリアリティを持った濃厚なラブシーンが求められるだろう。

またか。
私は頭を抱えていた。ラブシーンは苦手だ。
なぜなら、私には一切経験がない。そもそも男性と交際したことすらないのだから。

こうしたピンチは過去何度もあった。
最初はキスだった。そのほかにも、髪を撫でたり、頬に触れたりという恋人同士の難易度の低い触れ合いなど。

それらはすべて久さんが教えてくれた。
彼は私のサポートに対しては徹底している。必要だと思えば、相手役はしてくれる。

今回もお願いしてみようか。

いや、今までの行為よりは一段階進むだろう。
振りとはいえ、そこまでお願いしてもいいものかわからない。

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