『狂っていたのは、僕だった』〜くる僕〜
2

手に入れたい

今日は兄さんの彼女が家に来る




松風 美咲《まつかぜ みさき》

何回か会ったことがあって


笑顔が可愛くて

ポニーテールが似合う感じの美人な人だ




「おじゃましまーすっ、ん〜久々だぁ」





下の階からそんな声が聞こえる



元気な人だ




《ダッダッダッ》




階段を登ってきた美咲さんと



僕はリビングで対面した




「あっ、悠くん、お久しぶり〜!」



満面の笑顔で挨拶をする美咲さん



『こんにちは、お久しぶりですね』




「同じ学校なのに、なかなか合わないもんね!また大人っぽくなった?晴と変わらないね〜!」



そう言い、僕と兄さんを交互に見る



『そうか〜?俺の方が悠よりは大人だろっ』



不服そうに、だけどもにやつきながら兄さんがいった





「兄さんには全然及びませんよ、まぁ今日はゆっくりしていってください」



そう言って僕は1回だけ微笑んだ




「悠くんは相変わらずしっかりしてるね!ありがとう!」



『ありがとうな、悠、じゃ』



部屋に向かう二人を尻目に



僕の表情はまた元に戻った







兄さんを独占している



そう考えると美咲さんのあの笑顔も




僕の中で憎しみに変わった







ずるい





そんなことを考えながら



僕は紅茶を2つ用意した


< 3 / 19 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop