Way to happiness
少し酔ったな・・・と外で酔いを冷ましていると

「初めまして・・・」


振り返ると、スーツの男

「ぁ・・・」

「奥様の会社の取引先、ラグレスの神野と申します。
今、出向しておりまして…
今、奥様にアシスタントをしてもらってます。
今日は播磨さんにお誘いしていただいて…」

「妻がお世話になりまして・・・」

ムカつくくらいイケメンじゃねぇか・・・

「世話になったのは私の方で…
この数日でたくさんのことを教わりました…

仕事の事も人生の事も・・・」

人生?紗都、お前はこいつに何を言ったんだ…


「私…あんな人は初めてでした・・・
一目ぼれじゃないんです。じわじわと…
だから、人妻だとか、そういうこと全然考える余裕もなかった…

告白するつもりなんてなかったのに
あの笑顔見たら・・・気づいたら言ってしまいました・・・

幸せにしたいと…

相手にもされませんでした…

言われたんです…

私の幸せは貴方が決めるのかって。

何も言えませんでした・・・

さっきの一ノ瀬さんのプロポーズを聞いて…
なんていうか・・・すっきりしました

根底から違ったんだと…

敵わない相手だったんだと…

奥様にいやな思いをさせてしまい、申し訳ありませんでした…」

神野が頭を下げる


「謝らないでください。
あいつは、紗都は俺が選んだ女です。
他の誰かが惚れても仕方がない。
紗都がその誰かに惚れても・・・

だから、俺はあいつをまめに口説かなきゃならない

誰にも取られないように・・・

貴方が紗都に告白したのなら、俺ももっと頑張らないと。
結婚しても、子供がいても、紗都はいい女だから。

さて…紗都に振り回されてる者同士、戻って呑みましょう。

こうしてる間も悪い虫がついてるかもしれない。」

壱弥が店に戻ろうと促す

「ほんと…かなわないな…」

神野も苦笑いで店に戻る






「あ!壱弥!!」

「琥太郎!お前何してんだ!」

どんちゃん騒ぎのどさくさに紛れて
琥太郎が紗都に抱きついてる

苦笑いで突き放そうと頑張る紗都

壱弥にプロレス技をかけられてもがく琥太郎

二人を見てみんなが笑ってる


紗都の横に神野が立つと

「幸せなんですね・・・」

「ええ…すごく…すごく幸せです…」

「綺麗です…一ノ瀬さん…」

「ありがとう…からかってないのよね?」

いたずらっこのように微笑んで神野を見る

「からかってませんよ?もっともっと幸せになって
もっともっと綺麗になってください。
俺はこれからもあなたの幸せを祈っていますから…

さてと…そろそろ帰ります。明日は俺、ラグレスで仕事です。
平さんからの伝言で、”優しい所長からのプレゼントで
明日は結婚記念日有給だ!”だそうです。ですから明後日から
またよろしくお願いします。では・・・」

店を出ていく神野の背中に向かって


「今日はありがとうございました。

神野さん!!私もあなたの幸せを祈っています!」

ありがとう…神野さん…

好きになってくれてありがとう

あなたが好きになってくれたから

私は大事な物を再確認できた

ほったらかしの自分の事も

壱弥の事も

ありがとう・・・
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