風邪を引いたのはあいつのせい
ただその鬼だったやつというのが鬼畜で底意地の悪いやつで人があたふたするのを見て楽しむような悪魔で、唯一の出入り口を塞いでしまったわけだ。
罵ってやりたかったのは山々だけど、いかんせんわたしは小心者だし相手の恐ろしさを骨の髄まで叩き込まれていたので半泣きで限られたプールの敷地を逃げ回るしかなかった。
後ろから追ってくる悪魔の手。そりゃ悲鳴をあげる。怖いし。捕まったら地獄を見るのは目に見えている。
ひぃひぃと怯えながら後ろを振り返り逃げ、なんともベタなことに足を滑らせまだ水の張っていたプールの中に落ちた。
日中はまだ暖かいとは言え夕方にもなれば冷える。夜もなったら上着は必須、寒がりの人はマフラーを持ってくるぐらいには冷える。
そのまま家に帰ってすぐにお風呂にでも入ればこんなことにはならなかったんだろうけど、プールサイドで腹を抱えて笑う悪魔の姿を見てしまえば怒りも湧く。わたしがこうなってんのはあんたのせいだろ、と。