百鬼百光
「そなたはいつ神殿へ行くのだ?」
「明日の日の出とともに出発する予定でございます」
私は早く正式に百光の一員として
認められたい
だから十八の年になったら
直ぐに大神様の元へ出向こうと
前々から決めていた
「明日、か・・・・・そんな気がしてたよ」
ふっと大婆様が微笑するのが聞こえた
大婆様は煎じていた薬草にラバの実を入れ
ゴリゴリと音を立てながら実を潰した
ラバの匂いは心が落ち着くな・・・
ラバ特有の甘酸っぱい匂いが部屋いっぱいに広がり、それまでの緊張が少し和らいだ
ラバの実は大神様に献上する実で
村の人々は大切に育て収穫し
大婆様が煎じたりラバ酒にしたりして献上する掟になっている
だから村の中でラバの実は
神聖な実として大切に扱われている