百鬼百光



大婆様は文を書いていた手を止め、薬草を手に取り慣れた手つきで煎じ始めた



「そなた、いくつになったのだ?」



窓から射し込む暁色の光が、大婆様を包むように照らした



「はい、リツは十八の年になりました」



大婆様が振り返り、百光の象徴でもある金色の瞳が私を捉える



「・・・・あんなに小さかった幼子がもう成人の年になったのだな」


「恐れ入ります」


成人の年、か・・・・


< 8 / 13 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop