抜き差しならない社長の事情 【完】

「なぁ、いつ社内恋愛禁止になったんだよ。何人もいるだろ、うちにはほら」


「とにかく、
 Z社とは取引中止だな、G社の専務も何なんだあのスケベ親父」


「え?
 ああ、見てたのか夢野さんが絡まれてたとこ」


「お前に頼んでおいただろう? なにしてたんだ!」


「ごめんごめん。
 でも意外と彼女強いのな。気づいてすぐに行こうしたんだけど、しっかり退治してたよ。そういうところもさすがキャピキャピの20代とは違って、いいよ、うん」


「なんなんだお前は一体、スケベ親父と変わんねぇぞ」


「はぁ? だから俺は真面目に夢野さんを」


「うるさい!
 禁止だ!恋愛禁止!仕事をしろ仕事を」


バックミラーを見た神田は、憮然として横を向いている親友に首を傾げた。



――はて……
 蒼太って、こんな気難しい奴だったっけ?
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