海月物語。
 海斗は、丼を二つ、食卓テーブルの上に置く。
「できたよ。食べたくなくても少し食べて。また食べないと、無理矢理食わすぞ。」
海斗は、来海の腕を掴み、食卓テーブルの椅子に座らせた。来海は、少しずつお粥を口に運ぶ。それを見た海斗も、自分の粥を食べ始めた。
「その髪、どうやって染めるんですか?」
来海は海斗の髪を見上げた。
「あ~。よく聞かれるけど、これ地毛だよ。昔からプール漬けだったから髪の色素が抜けちゃったんだよね。」
海斗は、髪を捻りながら答えた。
「うらやましい。」
来海は、すこし笑えた気がした。
「俺は、来海ちゃんのその綺麗な白髪、好きだけど。」
海斗もまた、来海の髪を見つめる。
「白髪じゃないですよ。」
今度は声を出して笑えた。来海が段々と笑顔を見せてくれることに海斗は喜びを感じていた。
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