冷酷上司の甘いささやき
少しギリギリだったけど、なんとか最終の上映時間に間に合った。

特別、この作品が観たい、というのは決まっていない。映画館内の上映スケジュールを見て、その場でパッと決めることが多い。今日もそうだった。


今日は、感動ものだと前評判のホームドラマを観ることにして、チケットとオレンジジュースを買い、館内のちょうど真ん中辺りのシートに腰かけた。
いつ来ても割と空いている館内は、この時間だと本当にガラガラで、館内にいるのは私と、私と同じく仕事帰りっぽいスーツを着たおじさんと、大学生くらいのカップルくらいだった。
おじさんもカップルも私のうしろにいたので、私は完全にスクリーンのみに集中できた。


映画は、確かに前評判通り、感動ものでいい話だった。

映画の上映が終わり、ロビーに出て、そのまま帰っていくおじさんとカップルを背に、私はパンフレットを買った。
映画を観たあとは、その映画がおもしろければ大抵パンフレットを買ってしまう。


買ったばかりのパンフレットをパラパラとめくりながら、映画館をあとにする。

腕時計を見れば、時刻はもうすぐ日付が変わる頃。

このまま家に帰って、シャワーを浴びて、すぐ寝よう。

夕食はいいや。明日の朝しっかり食べれば。
趣味を優先させてると、ご飯食べるのがどうも疎かになりがちだ。少食であんまりお腹空くタイプじゃないからなおさら。
疲れてるとご飯食べるのがめんどくさいって思うこともある。ご飯食べるくらいなら睡眠時間をその分、確保したいって感じる。


こんな生活、決して褒められたものじゃないけど、誰かになにか言われるわけじゃないし、いいよね。
だからひとり者はお気楽で最高なんだ。
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