冷酷上司の甘いささやき
「お、大きな声出してすみません。でも、いいんです。えと……私がちゃんと自分で言いますから!」
私はそう言うけど、課長は、ポリ、と頭を掻きながら。
「それができると思わないから俺が言おうとしてるんだけど」
「うっ……で、でも! いいです! やめてください!」
やめてください、なんて。思わず、課長に失礼なことを言ってしまった。
でも、課長から日野さんにそんな注意をしたら、ただでさえ課長に怯えてる日野さんはきっとものすごく傷つく。それに、もしかしたら私が課長に日野さんのことをチクった……とか、日野さんは感じてしまうかもしれない……とか思って。
たしかに今日の日野さんには困らせてしまったけど、日野さんとギスギスしたくはないんだ。私がはっきり注意すれば、ギスギスすることもなく、もっといい関係になれるとは思うんだけど……。
でも、課長は私のことを心配してくれたんだよね。それはわかるから、余計に申しわけなくなった。
「……ふぅん。じゃあ言わないけど」
ボソっと紡がれた、課長の言葉。笑顔がないのも言葉が短いのもいつものことだから、怒ってるのかそうじゃないのか、わからない……。
「あ、あの、心配してくださってありがとうございました」
「ん」
「……で、では、お先に失礼しますっ」
申しわけなさにいたたまれなくなって、私は頭をぺこ、と下げるとその場から逃げるように去った。
駅の外に出て、普段だったらこのまま家に帰るけど……
私は、疲れた人かちょっと嫌なことがあった時とかは、あえて直帰せず、向かう場所がある。
それは、映画館。
昔から映画は大好きで、大学生の時なんかはよく映画館に通いづめになっていた。家にも映画のDVDが、たくさんある。
社会人になってからは、学生の時よりは映画館に行く回数は減ったけど、家の近くに映画館があるため、仕事終わりに行くこともよくある。
古くて小さいからあまりにぎわっていないけど、逆に言うとかそのため静かで落ち着ける映画館だ。まあ、”近くに良さげな映画館があるから”っていう理由でこの駅に住むことにした、というのもあるけど。
私はそう言うけど、課長は、ポリ、と頭を掻きながら。
「それができると思わないから俺が言おうとしてるんだけど」
「うっ……で、でも! いいです! やめてください!」
やめてください、なんて。思わず、課長に失礼なことを言ってしまった。
でも、課長から日野さんにそんな注意をしたら、ただでさえ課長に怯えてる日野さんはきっとものすごく傷つく。それに、もしかしたら私が課長に日野さんのことをチクった……とか、日野さんは感じてしまうかもしれない……とか思って。
たしかに今日の日野さんには困らせてしまったけど、日野さんとギスギスしたくはないんだ。私がはっきり注意すれば、ギスギスすることもなく、もっといい関係になれるとは思うんだけど……。
でも、課長は私のことを心配してくれたんだよね。それはわかるから、余計に申しわけなくなった。
「……ふぅん。じゃあ言わないけど」
ボソっと紡がれた、課長の言葉。笑顔がないのも言葉が短いのもいつものことだから、怒ってるのかそうじゃないのか、わからない……。
「あ、あの、心配してくださってありがとうございました」
「ん」
「……で、では、お先に失礼しますっ」
申しわけなさにいたたまれなくなって、私は頭をぺこ、と下げるとその場から逃げるように去った。
駅の外に出て、普段だったらこのまま家に帰るけど……
私は、疲れた人かちょっと嫌なことがあった時とかは、あえて直帰せず、向かう場所がある。
それは、映画館。
昔から映画は大好きで、大学生の時なんかはよく映画館に通いづめになっていた。家にも映画のDVDが、たくさんある。
社会人になってからは、学生の時よりは映画館に行く回数は減ったけど、家の近くに映画館があるため、仕事終わりに行くこともよくある。
古くて小さいからあまりにぎわっていないけど、逆に言うとかそのため静かで落ち着ける映画館だ。まあ、”近くに良さげな映画館があるから”っていう理由でこの駅に住むことにした、というのもあるけど。