冷酷上司の甘いささやき
月曜日。事務課のデスクの掃除をしていると、阿部さんが出勤してきた。


おはようございます、と阿部さんは周りの社員さんたちにあいさつしながら、一番奥にある事務課のデスクの方へと歩いてくる。


ええと、阿部さんが来たらまずはあいさつをして、あと、この間叱っちゃったこと謝って、それから、今日からはまた改めてやさしく仕事を教えて……。
あ、でもやさしすぎると阿部さんも仕事を覚えられないから、課長みたいに言うことははっきり言って……とかいろいろ考えていると、阿部さんがやってきた。


私の方に歩いてきた阿部さんに、おはようと声をかけようとした時だった。



「おは……あれ?」

阿部さんは、私にはあいさつをせず、ただ黙って通りすぎ、その奥にいた事務課の係長と課長にあいさつをして、自分のデスクに座った。


無……無視されたぁ!!



……いや、でもこの間キツい叱り方しちゃったのは確かだもんね。ちゃんと謝らなきゃ。



だけど、私が近寄ろうとすると阿部さんはさっと逃げてしまう。明らかに、避けられている。



うーん、これはどうしよう……。ちゃんと謝りたいけど、タイミング的に今じゃないのかな……?



まあ、一日いっしょに仕事してるわけだし、ていうか私が阿部さんに仕事教えるわけだし、チャンスはいくらでもあるよね。

そう思い、私は朝の掃除を再開した。
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