冷酷上司の甘いささやき
私も気になります、とは言えなかったけど。
でも、やっぱりほかの人から見てもそうなんだ。
私が課長のことをいっぱい見ているから、とかじゃなくて、ほかの人から見てもわかるくらいに課長はわかりやすく阿部さんに笑顔を向けているんだ。



……私は彼女だけど、”特別”なんかじゃないのかもしれない。
『気になってる』って言ってくれたことはとてもうれしかったけど、しばらくいっしょに過ごしてみて、「やっぱり違う」って思われているのかもしれない。
「阿部さんの方がかわいくて守ってあげたい」とか……そういうふうに思っているのかもしれない。



今ならまだ、傷が浅くて済む気がする。一回デートしただけだし、キスもしてないし。




……フラれること、覚悟しておかなくちゃ……。






二十二時を回ったころ、一次会はお開きとなった。

一次会が終わると、だいたい課ごとに分かれて二次会となることが多い。
でも、事務課は主婦の方も多いため、事務課で二次会を開くことはあまりない。二次会に参加したい事務課の人は、ほかの課の二次会に交ぜてもらうっていう感じが多く、今日もそのパターンだった。


でも、私はいつも主婦の方たちといっしょに一次会で失礼する。
日野さんは、営業課の二次会に交じるかどうかを少し悩んでいたけど、「やっぱいいです。参加しません。一次会で燃え尽きました。合コンお願いしても誰も快諾してくれないし。もういいです」と言い、私や主婦の方たちといっしょに駅まで向かうことになった。
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