冷酷上司の甘いささやき
阿部さんは、居酒屋を出ると、ビールの勢いもあってか、居酒屋にいた時よりもさらに課長にべったりで、課長の腕に手を回そうとしていた。
課長は、阿部さんのその手をやさしくふりほどいてはいたけど、相変わらず、表情はやさしい笑顔だった。
「阿部さん課長にべたべたしすぎだよね」
「でも課長の表情、やさしくない? あんな顔見たことない。案外阿部さんと課長、そのうち付き合ったりして」
「あるかもねー。結局男は若い女の子がいいのかしら」
電車の中で、いっしょに帰る途中の先輩たちがとなりでそんな会話を繰り広げていて、心にグサッとくる。
「阿部さんと課長がそのうち付き合うかも」という言葉にも、「若い子の方がいい」という言葉にも。
そりゃ、男性からしたらアラサーの私よりも、新卒の阿部さんの方が若くて初々しくていいだろうけど……。
「私は課長のことニガテですけど、自分だけにあんなにやさしい笑顔を向けられたら、たしかに好きになってしまうかもしれません」
先輩たちの会話に対して、日野さんがそんな言葉を発した。先輩たちも、「わかる」と言って、うんうんと頷く。
……私も、その通りだと思った。だって私は、それで課長のことこんなに意識してるんだもん。
だけど、今は苦しいよ。
課長が私だけに見せてくれる表情はすごくうれしいけど、私には見せない表情をほかの女の子に向けるのを見ているのは、すごく嫌、なんて感じてしまう……。
課長は、阿部さんのその手をやさしくふりほどいてはいたけど、相変わらず、表情はやさしい笑顔だった。
「阿部さん課長にべたべたしすぎだよね」
「でも課長の表情、やさしくない? あんな顔見たことない。案外阿部さんと課長、そのうち付き合ったりして」
「あるかもねー。結局男は若い女の子がいいのかしら」
電車の中で、いっしょに帰る途中の先輩たちがとなりでそんな会話を繰り広げていて、心にグサッとくる。
「阿部さんと課長がそのうち付き合うかも」という言葉にも、「若い子の方がいい」という言葉にも。
そりゃ、男性からしたらアラサーの私よりも、新卒の阿部さんの方が若くて初々しくていいだろうけど……。
「私は課長のことニガテですけど、自分だけにあんなにやさしい笑顔を向けられたら、たしかに好きになってしまうかもしれません」
先輩たちの会話に対して、日野さんがそんな言葉を発した。先輩たちも、「わかる」と言って、うんうんと頷く。
……私も、その通りだと思った。だって私は、それで課長のことこんなに意識してるんだもん。
だけど、今は苦しいよ。
課長が私だけに見せてくれる表情はすごくうれしいけど、私には見せない表情をほかの女の子に向けるのを見ているのは、すごく嫌、なんて感じてしまう……。