Live as if you will die tomorrow
「…それは、ちょっと難しいな…」
元々硬い表情が、深まる。
勿論空生には、難しいことなのはよくわかっている。
感情を出さないようにしてきた空生。
そうすることで、本来なら依存するべき相手に、依存しないように生きてきたんだから、抵抗は強いはずだ。
幾ら、それが、無意識だからって。
「大丈夫だよ。俺は笑ってもないのに、笑ってるって思われる事が多いし、表向きの笑顔は得意だから、教えてあげる。それにー演じてるだけ、って思えばいいんだ。」
言いながら立ち上がった俺を目で追う空生が、首を傾げた。
「演じてる?」
「そう。だって、空生って名前のお前はもういないんだから。」
生まれて来なきゃ良かった人間なんだから。
「お前の笑顔は、きっと見る人全てを虜にするよ?」
さて、開店準備するか、と呟き、何も言わない空生に背を向けた。
「あ、だから、もうその、『火遊び』終わりにしろな?」
部屋から出て行く直前に、忠告も投げつけて、返事を待たずにドアを閉めた。