Live as if you will die tomorrow
「俺も協力するから。」


お前が俺を裏切らない限り、俺もお前を裏切ることはしないから。


「……」


隣に腰掛けた俺の真意を知ろうとしてか、空生は探るような視線を向けてくる。


「…どうやって?」


暫くしてから、口を開いた空生に迷い等は少しも無かった。

生きる意味がないから、苦しい訳で。

空生は、復讐心なんて抱いていないのかもしれない。

あるのは、宙ぶらりんの、ウマレテコナケレバヨカッタという思い。

渇望しているのは、存在が許される場所。



「簡単だよ。俺の言う通りにすれば、何もかも上手く行くし、金も手に入る。但し、ギブアンドテイクだ。それにー条件もある。」



「何?」


興味をそそられたように、僅かに身を乗り出す空生。



「今持ってる名前は絶対に使わないことと、深入りしないこと。本気になったらこっちの負けだ。」



俺の出した条件に、空生は今度こそ笑った。



「俺が女に本気になんてなるわけない。それにーこの名前なら、捨てようと思ってた所だ。」



なんだそんな簡単な事か、とでも言うようなひねた笑いだった。



「それなら良かった。あとー求められるスキルは、誰にでもなれること。どんなタイプの人間にも。その為には、もうちょっと表情とか感情とか、自由に自然に出せるように鍛えないといけないね。」


それさえあれば、生まれ持った、人を惹きつける才能を、空生は、最大限使うことができるだろう。
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