沈黙の境界線
それでも、こうしてネットという世界で
人との繋がりを求めてしまうのは
なんとも滑稽で惨めなことだと自分でも感じていた。
それでも
誰かとの繋がりを求めてしまうのは
誰かに
自分を救ってもらいたいという脆い希望のようだと
薄々、気付いてはそのたびに、繋がりを切る。
そんなことを繰り返して。
もう何度目のハンドルネームかもわからない。
繋がりを切ってしまうのは
相手が自分よりも随分幸せなんだと確信した時だった。
友達がいて
学校に通うことができて
放課後、カラオケに行ったり買い物に行ったり
自分ができなくなったことができる相手がたまらなく不愉快でつまらない。
そんな相手に自分の中の孤独を癒すことなどできないことも
そんな相手に救われたいとも思えない。
右腕にまだケロイドのように残る傷痕が、痛みを忘れることができずにじわじわと疼く。