沈黙の境界線
「泣いてる?」
気づけば画面に映し出されていたモカからのメッセージに、いつの間にか口元が緩んでいた。
「泣かないよ」
打ちながら一人また、頷いていた。
この痛みでもう私は泣けない。
泣かないと決めたんじゃない。
泣けないんだ。
枯れるまで泣き続けていたいた日々。
事件に巻き込まれた被害者がどんなに泣き叫ぼうが、その事件で騒がれるのはほんの一瞬なんだ。
犯人が捕まれば・・・ううん。
数日も過ぎれば風化していく。
世間は過去の事件よりも今現在タイムリアルに放送される新しい事件で頭の中は一杯なんだ。
テレビに写し出される事件は
当事者にとっては永遠でも
周囲の記憶に残るのは一瞬にも満たない刹那の出来事。
そんな世界に
こんな考えしか持てない自分に
絶望した。