不良探偵
「傷は…」

耕介が躊躇いがちに言う。

「傷は、大丈夫なのかよ」

「へっ…………俺がこの程度で……死ぬと思ったのかよ……憎まれっ子世に憚るって……言うだろうが……」

我妻は力なく笑った。

「轢き逃げたぁ…やってくれる……でもな…………鏑木の肩に……銃弾1発……食らわせてやった…………ざまぁ見ろ……」

「もういい、もういいからよ…少し休めよ」

いつもの悪態も、ナリを潜める。

耕介は我妻の体を気遣う。

気遣う事しかできない。

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