不良探偵
病室を出た後。

「!」

雛罌粟が耕介の手に触れた事で、彼の固く握りしめられていた拳は緩んだ。

「……優しいね……探偵さん」

「そんなんじゃねぇよ」

耕介は、雛罌粟の触れてきた手とは反対側の手をポケットに突っ込む。

「そうだよね…」

耕介の手を握る雛罌粟。

「…探偵さんは、自分が嫌がらせされた仕返しをするだけ…」

「そうだ」

「我妻さんの事なんて関係ない…」

「そうだ」

「別に敵討ちだなんて思ってない…」

「そうだ」

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