不良探偵
仇を取ってやる義理などない。

探偵としての依頼ではないのだ。

骨折り損なだけで、一銭の得にもなりはしない。

無駄働きになる事は確定している。

損得勘定でしか、耕介は動かない。

それでも。

「任せろ」

耕介は娘の瞳を見た。

「お父さんにはゆっくり休んでもらえ。俺が全力で、お父さんをこんな目に遭わせた犯人を探し出してとっ捕まえて、責任持ってぶっちめてやる」

「……」

娘の瞳から零れ落ちる、大きな涙。

彼女は強く頷いた。

< 137 / 170 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop