不良探偵
…確かにそうなのだろう。

耕介は損得勘定でしか動かない。

自分に被害が及ばない限りは、ここまではしないだろう。

が…その報復の中に、何割かは『雛罌粟の分』も含まれている。

たった1割でもいいのだ。

その事が、雛罌粟は嬉しい半面、その事で怪我をした耕介に申し訳なくもある。

シャワーを浴びている耕介の目の前に、しゃがみ込もうとする雛罌粟。

「止せよ、まだ洗ってねぇから…そんな事しなくていい」

雛罌粟を立ち上がらせる耕介。

「汚いなんて思わないよ…?」

「そういう問題じゃねぇ。しなくていい」

『恩義に感じる必要はない』

雛罌粟は、耕介がそう言っているように思えた。

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