ナイショの恋人は副社長!?
「まず先に言っておくけど、その『加奈子』というのはオレの母親」
「はっ、母親……!?」
間抜けな声を上げてしまう程、拍子抜けの答えに優子は一気に力が抜けてしまう。
辛うじて座り込まず、敦志の話の続きを聞いた。
「優子さんに疑われたくないので全て話すけど、オレと社長は従兄弟なんだ」
「えっ? 従兄弟……?」
「そう。だから小さい頃から一緒に過ごしてきて、彼はオレの母親のことを昔から名前で呼んでいて、今もそのまま」
ここでまさか、気になっていたもうひとつの件もはっきりするとは思わず、優子は驚かされるばかり。
「彼はオレを必要としてくれたし、そのおかげで母子家庭のオレたちも安定した生活を送れるようになった。我が社は藤堂という名前でわかるだろうけど、オレは直接関係ない人間なのにね」
純一との関係が明白になり、『もしかして』と優子は尋ねる。
「え……じゃあ、昔からずっと守りたかった人っていうのは……」
「……純一くんのこと。彼は大企業の子どもという家庭環境から、小さい頃に何度か危険な目に遭っていたから」
「そんなことが……」
詳細はわからないけれど、危険な目に遭ったという想像をして優子は愕然とする。
そして、小さな頃から敦志という人間は、純一のそばにいて支えていたのだと思うと、より一層人柄に好感が持てた。
人のために一生懸命になれる敦志に、再びドキドキと胸をときめかせる。
不意に、再び目が合った瞬間、真剣な声で言われた。
「だから、オレに彼女なんかいない」
吸い込まれるような深い色の瞳に、優子は地に足がついている感覚がなくなる。
ふわりと心が揺れ動いたのと同時に、さらに敦志が続けた。
「守りたいと思うようになった女性はいるけれど」
「――えっ」
声を上げてしまったのは、敦志の言葉に驚いたからというわけではない。
その言葉を聞き終えるかどうかという時に手を握られ、すぐ側のビルの陰に引き込まれたからだ。
夜で暗かったのが、さらに街灯もまともに届かぬ場所になってドキリとしてしまう。
見上げた敦志の顔が蔭っていて、より一層艶っぽく見え、心拍数は増すばかり。
「はっ、母親……!?」
間抜けな声を上げてしまう程、拍子抜けの答えに優子は一気に力が抜けてしまう。
辛うじて座り込まず、敦志の話の続きを聞いた。
「優子さんに疑われたくないので全て話すけど、オレと社長は従兄弟なんだ」
「えっ? 従兄弟……?」
「そう。だから小さい頃から一緒に過ごしてきて、彼はオレの母親のことを昔から名前で呼んでいて、今もそのまま」
ここでまさか、気になっていたもうひとつの件もはっきりするとは思わず、優子は驚かされるばかり。
「彼はオレを必要としてくれたし、そのおかげで母子家庭のオレたちも安定した生活を送れるようになった。我が社は藤堂という名前でわかるだろうけど、オレは直接関係ない人間なのにね」
純一との関係が明白になり、『もしかして』と優子は尋ねる。
「え……じゃあ、昔からずっと守りたかった人っていうのは……」
「……純一くんのこと。彼は大企業の子どもという家庭環境から、小さい頃に何度か危険な目に遭っていたから」
「そんなことが……」
詳細はわからないけれど、危険な目に遭ったという想像をして優子は愕然とする。
そして、小さな頃から敦志という人間は、純一のそばにいて支えていたのだと思うと、より一層人柄に好感が持てた。
人のために一生懸命になれる敦志に、再びドキドキと胸をときめかせる。
不意に、再び目が合った瞬間、真剣な声で言われた。
「だから、オレに彼女なんかいない」
吸い込まれるような深い色の瞳に、優子は地に足がついている感覚がなくなる。
ふわりと心が揺れ動いたのと同時に、さらに敦志が続けた。
「守りたいと思うようになった女性はいるけれど」
「――えっ」
声を上げてしまったのは、敦志の言葉に驚いたからというわけではない。
その言葉を聞き終えるかどうかという時に手を握られ、すぐ側のビルの陰に引き込まれたからだ。
夜で暗かったのが、さらに街灯もまともに届かぬ場所になってドキリとしてしまう。
見上げた敦志の顔が蔭っていて、より一層艶っぽく見え、心拍数は増すばかり。