ナイショの恋人は副社長!?
「おかえり、優子ちゃん」
受付に戻った優子は、今本に笑顔で迎え入れられる。
それに対し、微笑を浮かべて返すが、内心は明るいものではなかった。
「ものすごい絵になるふたりだったよね。背が高くて、すらっ~としててさ! なにか話したの?」
「いえ、特に……」
「そうなの? せっかく言葉が通じるのに、勿体ない! なんて、でも、お客様だしね。そうそう自分から話しかけたりなんかできないよね」
今本がやや興奮気味にペラペラと話をしていると、内線のコールが鳴り響く。
まだ立ったままだが、後輩の優子が率先して受話器を取った。
「はい。インフォメーションです」
『早乙女ですが』
不意打ちの声とその名に、優子は直立不動になる。
驚きのあまり、受話器を持つ手の感覚がなくなり、今にも落としてしまうのではないかと思ってしまう。
『鬼崎さんですか?』
優子が何かを言う前に、敦志がさらに言葉を重ねた。
優子は、ドクドクと騒ぐ心臓で、震える声をようやく出す。
「は……はい。そうですが」
(なんだろう。なんで、秘書の人ではなくて、副社長が直接電話を……)
汗をかいているのは手だけではなく、もはや全身から噴き出てしまいそうな程の緊張感。
敦志が直々に電話をする理由がわかるわけもなく。
優子は、今しがたの案内で、なにか不備でもあったのだろうとしか考えられなかった。
嫌な緊張でごくりと唾を飲み込み、敦志の言葉を待つ。
すると、思いもよらない質問が投げかけられた。