My Fair Farewell
「もう皆、わたしもだけど、就活の準備とか始めててね。
もう三年生なんだなぁって実感する。あーあ、ずっと大学生でいたいなぁ」
変わったのかもしれない。
変わらなかったかもしれない。
そんなことばかりだ。
ここ最近、頭に浮かぶのは、そんな淡い後悔ばかりだ。
自分から振ったくせに。
こんなに女々しかっただろうか、わたしは。
「明日ね、友だちと映画観に行くんだよ。すごく好きな小説が原作なんだけどね……」
カラン、と、氷のぶつかる音がして、わたしはどうしてか、言葉を切った。
裕のアイスコーヒーのグラスが空になっていた。
ちら、と腕時計を見ると、カフェに入ってから一時間が経っていた。