幽玄の國に誘われ



「なんだと……? こんなわけの分からぬ女を連れていけだと?!」






「だが、美夜姫殿の命なのだろう?」






「ぐ……」






「それに、俺も共に行くから案ずることは無い」






「へ……?」






またしても間の抜けた声を上げてしまった。

男達は「それならば」と言うと、






「では、今すぐ発つ故 準備を素早く済ませるように」





「我らは門の前にてまつ」






というと、男達は外へ出ていき この場には私と獅騎さんだけ残って。






「あ、あの……」





「なんだ?」






「なんかすみません…巻き込んでしまって」






「気にするな 元々お前を拾ったのは俺なのだからな
こうなったら 最後まで面倒みてやるよ」






ん?その言い方はまるで私が捨て犬か捨て猫のようではないかと思ったが、あまり気にしないようにして

「ありがとうございます」とだけ応えた





「ときに お前、名は?」





「あ、胡珀です 鈴鹿川 胡珀といいます」






そういうと、獅騎さんは驚いた。






「お前は…姓を持っているのか?」






「えっ?」





性と名はそもそも揃ってて誰もが持っているものだ
と思ってた私は獅騎さんの言うことにこちらが驚いた






「だが、鈴鹿川とは聞いたことがないが……」






「あの、獅騎さん……」






「獅騎でよい」






「は、はい」





私が返事をすると、満足そうに獅騎は微笑んだ。


うぅ 相変わらず眩しいほどの笑顔です……






「俺は先に外に出てるから 荷物を纏め次第 外に来いよ?」





それだけ言うと、獅騎は外に出ていってしまった。


私も急いで2階に戻り、少しの荷物を持って外に出た。外には獅騎とさっきの男の人達と






「タカ……?」






彼らの近くには鷹に似た大きな鳥がいた






「胡珀 早く乗れ」






私は 急いで獅騎のところへ行き、獅騎の前に乗せてもらった。



獅きは私が乗って落ち着いたのを確認すると、鷹もどきを空へと飛翔させた。






「 わわっ!」





飛び上がる時の強い風圧に耐えるため、手綱を強く握った。 私は おそるおそる目開けると、地面が見る見るうちに離れていく。
だいたいの高さまで飛び上がると鷹もどきは前へ進み始めた



空から地上を見下ろすと獅騎の家の周りには、森が広がっていて 建物らしきものは全く見当たらない…








(ほんとに、異世界に来ちゃったんだ……)







風が強いので私は落ちないように 手綱らしきものをはっきりと握った。




そこで、私は妙な違和感を覚えた。






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