過保護な彼に愛されすぎてます。


『不破さんがいると、現場の空気が明るくて楽しいんです。大学もあって疲れてるはずなのに、そんな様子なんて見せなくて、尊敬しているモデルさんです』

にこやかに話す真野さんに、郁巳くんは『いや、こんな風に褒められるのは正直照れますね』と困ったような笑みを浮かべる。

すると真野さんは、『でも、いつもカメラマンさんにも勘がいいって褒められてるじゃない。私も、郁巳くんは本当にすごいなっていつも思って……』と言いかけ、〝しまった〟というような顔をした。

そこに、司会が食いつく。

『今、〝郁巳くん〟って呼んでましたけど、普段はその呼び方なんですか?』

真野さんは、歯切れ悪く『ええ、まぁ……』と答えてから続ける。

『仲が良くなってからは〝郁巳くん〟って呼ばせてもらってます。郁巳くんは、いつになっても〝真野さん〟ですけどね』

チラッと視線を向けた真野さんに、郁巳くんはハハッと笑いながら『先輩相手なんだから当然でしょう』と答えていた。

その笑顔を見て、〝あ……〟と思う。
普段、ファンに向けているものとは少し違う、自然な笑顔。

いつも、私に見せるような微笑みを真野さんに向けている郁巳くんを、どこか気持ちを遠くにしながら見つめていた。

不意に、胸の奥にチリッと火傷したみたいな痛みが走った。
なんだろう……と不思議に思いながら、胸を押さえる。

胸というより、胃……? でも胃でもないような、感じたことのない痛みが不快で眉を寄せた。

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