過保護な彼に愛されすぎてます。
静かな夜だった。
郁巳くんがいないってだけで、こんなに時間は落ち着いて過ぎていくんだって感動するほど。
部屋も広く感じて、なんでだかひとりぼっちになったような、ポカンと急に穴が開いちゃったみたいな不思議な寂しさを感じた。
お風呂をすませて、早い時間からベッドにもぐり込む。
だいたい、郁巳くんはいつも二十三時近くまで私の部屋に居座るから、こんな時間にベッドに入るなんて久しぶりだった。
スマホを見ると、二十二時過ぎ。
お知らせランプが点滅して、メッセージアプリに未読があることを伝えているけど……どうせ郁巳くんだろうなと思い、放っておく。
このスマホは、去年買ったものだ。
『奈央ちゃん、スマホおそろいにしよー』
スマホの調子が悪いから機種変更しようと思ってるって言ったら、郁巳くんも替えるって言い出して。
結局、こういう機器に弱い私は、郁巳くんが勧めるまま同じ機種を選んだ。
『奈央ちゃん、こういうの苦手だもんね。初期設定、俺がやってあげるから貸して。ついでに待ち受け俺の写メにしていい?』
『えっと、待ち受け画像の変え方は……あれ。このスマホ取説ないの?』
『残念でした。今の時代、取説すらアプリとしてこの中なんだよ。機械に疎い奈央ちゃんには難しいかもねー。まぁ、俺の待ち受けにして、なおかつ、俺のスマホの待ち受けを奈央ちゃんにしていいって言うなら取説アプリの場所教えてあげてもいい……え、ちょっと、奈央ちゃん、ちょっと待って。一応なにしようとしてるか聞いていい?』
『郁巳くんのスマホの保護シート気泡だらけにしようとしてる』
『地味な嫌がらせやめて!』
そんなやりとりをしたなぁ……と懐かしく思いながら、暗闇のなか、ピカピカと黄緑色に光るお知らせランプを眺めた。