君を愛さずには いられない
「条件があります。」

俺の言葉にユリは腕を組んだ。

「条件によるわ。」

「たいしたことではないと思いますが。」

「何なの?」

「期間を2年に限定することと、俺の部下を一人同行したい。それだけです。」

ユリは局長に目をやった。

「私は局長の判断にお任せします。」

「いいだろう。了解した。」

俺はユリでなく局長に向かって頭を下げた。

「ありがとうございます。」

それまで黙っていた鏑木が口を開いた。

「では、私は客と約束がありますので失礼させていただきます。」

局長はそうかと言ってデスクを回ってきた。

「鏑木くん、こっちにはいつまでかね?」

「夜の便で戻ります。」

「とんぼ返りじゃないか。」

「はい、申し訳ありません。」

「忙しいのもいいがくれぐれも気をつけて。支社長によろしく伝えてくれたまえ。」

「承知しました。失礼します。」

鏑木は局長室を出ていった。

「では、私も失礼します。桂専務と約束してますの。」

ユリは局長にそう言い

俺に向き直ってにっこりと笑った。

「仁、あなたの部下は優秀だといいけど。」

最後まで本当に嫌な女だ。

俺が自然にそう思うのは不思議だったが

これで何もかも過去の愚かな自分に区切りをつけられそうだと思ったら

気分がスッキリしてきた。

ユリも局長室を出ていった。

残った俺は局長に質問があった。

デスクに戻った局長に問うた。

「なぜ俺なんですか?」

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