◆Woman blues◆
◆◆◆◆◆◆◆◆


「太一、買い物行こ」

「夢輝さん……待って。僕、今起きたとこ……」

抱き締めてくれている太一の腕を柔らかく解きながら、私は彼に向かってこう言った。

「起きて。もう9時だよ。ご飯食べて支度して出掛けようよ」

「んー……」

「置いてっちゃうよ」

私がそう言いながら太一の頬を指で弾くと、

「って。こら」

太一が私に再び腕を絡めた。

彼の体温と香りが、私の心を温かくする。

ああ、幸せ。

「太一、大好き」

私が太一の腕に唇を寄せると、彼は眼を閉じたままフウッと笑った。

「……一回だけ、していい?」

太一の甘い息が耳にかかる。

「……ダメ。昨日もしたし」

「……夢輝さん」

その時太一のスマホが鳴り、その音に諦めたように息をついた彼を見て、私は笑った。

「じゃね。シャワー浴びてくる」

「ちぇ。……はい、鮎川です」

私は、スマホを耳に当てる太一に微笑むと寝室を出た。

シャワーを浴びて昨夜の幸せを噛み締めていると、無意識に笑みがこぼれる。
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