◆Woman blues◆
身体を重ねる度に、私自身の中で燻っていた負の感情が取り払われて、太一と自然体で向き合えるようになってきたように思い、嬉しい。

それを求めるがために、人は肌を合わせるのかも知れないと、漠然と思った。

ここに来てやっと、歳の差に対するネガティブな思考がとけてきたみたいだった。

……太一となら、やっていけるかも知れない。

太一となら……。

バスルームから出て寝室の方を窺うと、太一はまだ電話中だった。

「……もっと早く言えよ」

……友達?

太一が誰かとこんな口調で話しているのを聞いたことがなかったから、私は少し興味が湧いた。

「……分かった!分かったっ!じゃあ来週の土曜、6時な」

太一は笑みを残した顔でスマホを置くと、立ち上がってこちらを見た。

「っ……!」

開けっぱなしだったドアのすぐ外に立っていた私の姿に、太一がギクリと息を飲んだ。

「ビックリした!」

「電話終わったの?」

「はい、同じ大学に留学していた友人でした」

「そう。シャワー浴びてきて。朝御飯作るから」

「はい」

太一は私をキュッと抱き締めてからバスルームへと向かった。

その後ろ姿を見ながら私の心臓は次第に早くなり、両の手のひらにはじんわりと嫌な汗が浮かび上がった。
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