◆Woman blues◆
「違うんだ」

ズキッと胸が痛んだ。

隆太は同情して私を抱いたんだ。

謝られたら私は余計惨めになる。

私は何でもないと言ったように少し笑った。

「やだなあ。隆太と私は同期で気心の知れてる友達じゃん。少し道が外れたけど、私達は」

私がそこまで言った時、隆太が大股で歩を進め、私の前に立った。

「嫌なんだ」

「……隆太?」

突然隆太に抱き締められて、私は息を飲んだ。

「もっと大事にしたいんだ、お前の事。けどあの日、あの時のお前を見て俺は我慢できなかった。今にも折れそうで、心細そうなお前を見て、俺は自分を止めることが出来なかったんだ。だから、卑怯だと分かりながらお前にああ言ったんだ」



『 分かってんのかお前、この意味』



あの時の隆太の艶っぽい眼差し。



『 なあ、分かってんのかよ。お互いガキじゃねーんだぞ』



……わかってた。

私はちゃんと分かってた。

だから、私は正直にあのときの心境を告げた。

「私はあの時、自分から隆太の胸に飛び込んだんだよ。隆太が欲しかったの。だから謝らなきゃならないのは私だよ。
……隆太、悩ませてごめん」
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