◆Woman blues◆
◆◆◆◆◆◆◆◆

「柴崎」

「はい」

株式会社ブライダルヴィーナスからの依頼のティアラ製作で皆がデザインルームに出払った午後、私は課長に呼ばれた。

「企画部から新案だ。『孫から祖母へ感謝を込めて』がコンセプトで、これをクリスマスから正月のウェブ限定販売の目玉商品にする予定だ。我がデザイン一課は指輪、二課はブレスレット、三課はネックレス担当だ」

私は課長を見つめた。

「それは良い企画ですね。社会人となった孫が、クリスマスやお正月にお祖母ちゃんにジュエリーをプレゼントするなんて素敵です」

課長は頷いて続けた。

「ああ。今までお年玉をもらってきた分、祖母にジュエリーをプレゼントというのもいいもんだろ」

「はい」

「その指輪をお前に任せたい」

課長は真っ直ぐに私を見た。

「皆はブライダルヴィーナスのティアラのデザインがあるからな。それにこれは、祖母へのプレゼントだ。絶対的な自信の溢れるデザインが求められる」

課長は一旦言葉を切って、再び続けた。

「俺はお前しかいないと思っている」

課長のデスクの前で、私はコクンと喉を鳴らした。

「……私でいいんですか、課長」

「お前じゃなきゃダメだ。思いきりやれ」

「はい!ありがとうございます!」

私は課長に頭を下げると、ドキドキする心臓に手を当てながら席に戻った。

久々に期待される喜びを味わい、胸が踊った。
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