◇ヌードで魅せて◇


「何してるんですか?」


その問いに答えてくれないとわかっていても。

ついつい先輩に聞いてしまう自分も大概だけど。


何も答えてくれないから。

先輩の後ろからそっと覗いちゃえ、なんてヒョコヒョコ近寄っていった。


「写真…ですか?」


画面いっぱいにたくさんの写真がずらっと並んでいて。

パッと見た感じ、どれも風景の写真ばかり。


「キレイ……」


思わず口から出てしまった言葉に、ほんの少しだけ先輩の雰囲気が柔らかくなったような気がした。

ウワサどおり、この人は風景の写真しか撮らないのかもしれない。

空とか海の写真ばかり。

青が多い中、ポツポツとオレンジ色の写真が混ざってる。


あの日の写真も、このファイルの中にあるのかと思ったら。

急に、ドクンと胸が苦しくなった。


でも、こうやってパソコンで写真を管理してるってことは…


「いつもデジカメですか?」


だって、そうなら暗室にこもる理由がないんじゃないだろうか。


写真のことはよくわからないけれど。

今は簡単に印刷だってできる。

でも、それだと写真の質が落ちるとか…?


なんて考えたところで、答えが出ることはないんだけど。


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