紳士な婚約者の育てかた

「両親と友達と。親戚…は、まあいいか。おばさんも飛行機嫌いって言ってたしな」

知冬が風呂へ行き代わりに彼が見ていた雑誌を眺める志真。
何が書かれているか文字はぼんやりとしか読めないけれど、何となく
その写真を眺めていると雰囲気は伝わるので悪くない。

ただ、ドレスを着ているモデルさんが美人でスタイルがいいので

とうてい自分じゃこうならない、甘い夢はみちゃいけないと念じながら。

「健ちゃんも来て欲しいけど。明音ちゃんいるし無理だろうな。
そもそも知冬さんがいる場所へは来たがらないだろうなあ…」

式場はやっぱり教会かな。リゾートホテルのチャペルとかも良い気がする。
何処でも夢があって綺麗で素敵だ。流石にフランスの地で白無垢が着れるとは
思っていないから、それは里帰りした時に衣装だけ借りて写真を撮ろうと思っている。

何年後に日本へ帰れるか分かったものではないけれど。

「結婚か。……はー。…どうしよう今からもう緊張してるよー」

できるだけ早くしようと話をしていて、まずは知冬さんの仕事が終わってから。
来月には終わるそうなので式はそのへんで。
両親たちを招待しないといけないから時間はそれくらいあったほうがいい。

今頃日本で渡仏する準備をバタバタとやっていることだろう。

「特にお母さんはまだ公務員だから届け出とか大変だろうな」

雑誌を膝に置いてソファに寝転がる。ベッドだと眠ってしまいそうだから。
眠るなら知冬の隣でなんてことない話をしながらがいい。

「あ。新野先生どうしよう。来てくれるかな?明日確認してみよう。
理想の男を自分で育てる、か。知冬さんは怒りっぽいところもあるけど
紳士だし優しいし…むしろ私が育てられてますよ新野先生。ああ、懐かしいな日本」

新野先生元気かな。フェルさんと上手く行ってるかな?話したいなぁ。

「志真。寝るならベッドですよ」
「はーい。……何時からそこに居ました?」
「特にお母さんは公務員だから」
「ノックして。もう一度言う、ノックして!」

ソファで雑誌を眺めながらゴロゴロしてたから気づかなかった。側に知冬が居たことを。
そんな息を殺して黙って見てるなんて怖いんですけど。

「志真が大きな声でしゃべっていたから誰かとこっそり電話でもして」
「その言い訳はもういい。……いいから、寝ますよ」
「理想の男を育てる」
「それ以上その話をしたら私は日本に帰りますからね!」
「何を言ってますか?もうこの先10年は日本へは帰しませんから」
「10年!?あれ?1年と3ヶ月じゃないんですか」
「この1年はまるで10年のように感じたので10年です」
「……」


山田志真。いや、来月には嶋志真になりますが。

頼れるのは旦那様だけのフランスの地にて何だかとってもピンチです。

そして決意しました。

生徒さんたちを導くとともに知冬さんも頑張って変えてみせると。

沢山の素敵なものを得たはずなのに幸せなエンディングのはずだったのに


私の戦いはまだまだ、始まったばかりなのです。



おわり
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