紳士な婚約者の育てかた

「じゃあ2人は同級生だったわけですね」
「あの頃から知冬君はこういう性格だったよ!」
「そうなんだ」
「大変だよね。彼、なにもしないでしょ?僕とルームシェアしてた時もね
何にもしないから僕が何もかもやってたよ」
「でもそれは仕方ないですよ。手を怪我とかしたら困るし」
「ケナゲー」

1時間も一緒にいると最初はあれだけ不審者だと思っていた相手でも
なんとか話ができるようになるものだ。
鍋を囲んで3人で夕飯を食べて、笑って、昔の話を聞いて。

「フェルさんは普段は何をされてるんですか?日本で働いてるんですか?」
「あ。うん。僕ねーサラリーマンをしてるんです。日本に単身赴任中。彼女募集中」
「そ、そうですか。見つかるといいですね」
「日本の女の子はメチャ可愛い。出来たらもう少し太っていて欲しいけどね」
「…はあ」
「志真チャンの知り合いで可愛い」
「帰れ」
「グエっ…知冬君、もう君ダイレクトに脇腹殴ったネ」

志真には見えない所からの攻撃だったようで彼は痛そうにうずくまる。

「知冬さん」
「この男と話していても中身のある会話はできませんよ。
パソコンのことは十分話しをしたので、もう用事は済んだはずですしね」
「でも苦しそう」
「では10分ほど転がしておけばいい。その間に片付けましょう、重いですよね。持ちます」
「はい…」

大丈夫かな。
でも、下手に構ったら知冬に怒られるので志真は片付けに立ち上がった。
重たいものは彼に運んでもらって。騒がしかったけれど、でもたまには
ゲストがいてもいいかもしれない。志真の両親は呼べないから。
知冬の両親を呼んでポロッとバレちゃったら困るからそちらも呼べないし。


「ごめん、志真。迷惑だったですよね」
「ううん。楽しかったですよ色々とお話が聞けたし。フェルさんも面白いし」
「……」
「知冬さんのこと知冬君って呼んでるのもなんだか面白い」

テオ君とよんでいるのかと思った。両親でさえテオと呼んでいるし。

「俺の名前ですから」
「そうですね」
「神とは関係のない、ただの人間である俺の名前」
「知冬さん?」
「さっさとあいつを追い返して2人きりになろう」
「…そ、そう強調されると恥ずかしいな」

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