紳士な婚約者の育てかた

「そんな事はない。ね。志真、俺だって料理は出来る」
「はい」
「う、嘘だぁ。志真チャン本当に?彼作るの?」
「はい。炒飯作ってくれました」
「……Jesus」
「十字を切った!?」

確かに志真も驚いたけれど、フェルナンドの驚き様はそれを越える。
どうやら神に祈るほど信じられない驚いた出来事だったらしい。
ここまでされたら普通何かしらの反応をするところだが、
当の本人は至ってマイペースに食後のお茶を飲んでいた。


「へえ。明日シモーヌさん来るんだ」
「はい。だから少し緊張していて」

片付けを終えて戻ってくるとすっかりくつろいでいるフェルナンド。
知冬と何やら話をしていたようだが志真が側に座ると視線は志真へ。

「知冬君の邪魔さえしなければ基本大人しいオバサンだよ」
「…邪魔をするつもりがなくても結果そうなっちゃった場合とか考えると」

私は鈍感な不器用だし、知冬さんは肝心なときに大事な事を言わない。
意志のキャッチボールが成立しているのか居ないのか微妙な所で。
それでも仲良く暮らしている。不満は吐き出せば改善される、事もある。

でもそこだけを見られて義母に悪い印象を持たれても困る。

「大丈夫だよ。志真チャンは上手く知冬君と暮らせてるみたいだから」
「だと、いいんですけど」

今日は1回本気で顔面を殴りたくなったし、嫌いにもなりかけたけど。
一緒にお茶も飲んだし、こうしてごはんも食べている。

怒っても結局は知冬さんと一緒にいたいんだよね、私。

知冬をみたら彼もコッチを見ていて目があう。

笑ってみたら相手はちょっと照れた顔で視線を逸らした。


「初期設定とメール設定、スカイプとか全部入れてあるよ」
「ありがとうございます!」

綺麗に片付いた机の上に真新しいノートパソコン。

「僕のフェイスブックも登録済」
「私はしてないし、出来そうにないですけど…」
「そんなものはすぐ消すから大丈夫ですよ」
「消さないで。そうだ、知冬さんはしてないの?」
「俺はしてない。けど、母親がしてます。たまに」
「へえ。じゃあそれも」
「登録済」
「さすがフェルさん」

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