紳士な婚約者の育てかた

自力でとかいいながら結局新野先生に聞いたら無言で渡された雑誌。
タイトルを口にするのも憚られる、あきらかにソレ目的の雑誌。
何でそんなものが保健室にあるのかはもう気にしないけれど。

とにかく、出来るだけ知識を詰め込んで備えておかなければ。

性に目覚めたばかりの中学生ばりに隅々までチェックする自分は
とても哀れで切ないけれど。

もう失敗は許されないのだ。


「志真、夕飯の買い物はどうしますか」
「えっあ。はい。…知冬さん、何が食べたい?」
「そうですね。君の手料理も暫く食べられなくなるから…和食で」
「わかりました。スーパーに寄ってもらって」

あれこれじゃ普通の帰宅?

「わかりました」
「……」
「まだ何か予定がありますか?」
「いえ。…ないです」

リベンジしたいんですが、まあ、確かにご飯は大事ですよね。
そんなガツガツしてる女とも思われたくない。
もう遅いかもだけど。

「……志真」
「はい」
「そんな睨みつけるのは、…何か俺に言いたいことがあります?」
「睨んでません」
「そう?…じゃあ、…出来れば前を向いていてくれますか?」
「知冬さんを見つめていたい」
「最近君はよく俺を睨んでいるのは何か意味が」
「気のせいです」
「……そう」

微妙な顔をされたけど、気にしない。
スーパーで買物をして荷物を分担して持ってもらって、家路につく。
残り僅かな時間を2人で仲良く過ごすにはどうしたらいいのか。

あと、今日も合間に母に電話しておばさんの様子を確認。

もう既に話が出来るほどに回復はしているようで、明日にも顔を出すつもり。

「知冬さん。一緒にお風呂、行きましょ」
「……」
「そ、そんな警戒しなくっても大丈夫です。ちゃんと勉強して来ました」
「……」
「お風呂なら寝ないから。ね」
「……、…志真。そんな無理にしてくれなくても」
「知冬さん」
「……わかった。行きましょう。でも、嫌な時ははっきり嫌と言って欲しい」
「はい」

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