紳士な婚約者の育てかた
彼氏とお風呂。
雑誌のコラムなどでたまに見てた、まさか自分がするとは思ってなかった。
ちょっと前かがみになって胸とか何やらを手でさりげなく隠しつつお風呂へ。
改装工事を終えて広く綺麗にリフォームされて、もちろんバリアフリーで
戻ってきたらおばさんもきっと大喜び。
じゃない、じゃない。そんな事考えてる場合じゃない。
「そういえば知冬さん。お風呂大丈夫?シャワーで済ませる?」
「何故?俺は別に長湯するのは好きですよ」
「銭湯いつも待ってもらってたから。シャワーで終わってたのかと思った」
「そういう訳じゃないですけど。ああ、体洗いますか?どうぞ」
「え。ど、どうぞ?」
「座って体を洗わないですか?俺は後ろで適当に洗うから…」
妙に手で体を隠しつつ壁に背をつけて棒のように突っ立っている志真。
何かしないと不味いし若干寒い。ので、言われるままに小さい椅子に座って。
体を洗い始める。全てが新しいから何だかワクワクした気分になってきた。
この家は最初何も手がついてなくて隙間風もあっていきなり住むのはキツイと思ったのに。
「こうしてると本当に私達の家って感じですよね」
「そうですね」
「知冬さんのお家ってどんなかな。あ。そうだ。写真とかあったら見せて欲しいな」
「どっちの?日本の実家?フランスの実家?俺の家?それともアトリエ?」
「い、いっぱいある…えっと。見れる範囲で色々と」
アトリエが家じゃないんですね、別にあるんですね。どれだけ広いの?
もらったスポンジにボディソープを付けて体を洗い始める志真。
後ろでは知冬も体を洗っているような音がする、座っているこの姿勢で
後ろに立っている知冬をみたらヤバイ気がするので振り返らない。
「俺の家はなんてこと無い普通の家。アトリエは静かな田園風景の中にある
元は貴族の別荘だそうですよ、見つけたのは母親なので詳しくは知りませんが」
「わあ。素敵。あ、でもアトリエなんてそうそう行けるもんじゃないですよね」
だいたいそういう場所は画家さんのテリトリーなので迂闊に入ると怒られそう。
絵を描いている時に知冬に近づいたら邪魔だったようでちょっと怖い顔で睨まれるし。
「君が来たらまずそっちへ連れて行こうと思っているんですけど」
「え?いいんですか?」
「家は街に近くて何かと煩いから。長閑な風景しかないアトリエならふたりきり」
「へえ。それも素敵」
「俺をそんな孤独な場所へ押し込めるんだから君を迎え入れたら暫くは仕事をしない
誰とも会う気はない。何処へも連れていかない、……2人で居よう」
「……わ。わあ。…なんだか、ろ、ろまんちっく」
監禁される
「なんて。あまり脅すと君が来ないと困るから、色々とイベントは用意してあるから」
「あはは。さすが知冬さん」