封印の虹 Vivid army
「ふぁーギリギリセーフ!」

「鼠優子、借りられたんだね!よかった~」

「もう忘れるなよ」

2回目の陸総合では、海の子も見ていた。白旗の私は訓練ではあまり目立たない。敵がいるところじゃないとよくわからない物らしい。刀で次々と斬っていく墨礼やナイフを投げ動きを止める鼠優子、力を計測出来るカメラを使う愛恩たちはかっこよく見えた。でも、ラリマーさんの言っていたことを思い出して、私は私のすべきことをするだけと気分を切り替えた。


「愛恩すごいね~あれ追いかけなくちゃいけないんでしょ」

計測係はカメラに表示される数字を伝えるという係で、どんなに動きが速い人でも追いかけて写さなければいけない。

「鼠優子も墨礼もすごく強いね。他の子よりも数値高かったよ」

「えっなんか嬉しいな……」

「別に、あれくらい出来て当然だ」

そう言いながらも墨礼は嬉しそうだ。

「あっ菜の花だ」

鼠優子は菜の花のところに行き、銅を返す。

「お疲れ様、いい感じだったよ」

「ありがとう……こんなに褒められたの久しぶりだな……」

鼠優子は素行不良で有名、教官にいつも怒られているので褒められ慣れていない。昔、文字を1つ読み褒められた幼児を見て羨んでいたことがある。

「そういえば、白い旗振り回している子いたよね?応援してくれる人がいるとやる気出るよね」

菜の花がそう言った時に、偶然桃心が来た。

「この子が白旗の選ばれし子!桃心だよ!」

「えっ鼠優子!?大げさだって!」

「選ばれし……なんかすごいね!」

総合訓練の後はどちらも訓練が無い。その空き時間に5人でいろいろ話していた。
後半年経ったら、もうこんな平和な時間は無くなる。それを皆知っているから、後悔しないように子の時間を大切にしている。
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