気まぐれイケメン上司に振り回されてます!
「礼香は、吉葉のことを気に入っていた。吉葉のセンスを、才能をな。だけど、海外に行く前に吉葉のことをこっ酷くフッたらしい」

「酷いとは、どんな……」

「礼香についていきたいって言った吉葉に『わたしはあなたを好きじゃない。もう一緒に仕事をしても無駄』ってな」

「無駄って……」

「言われた吉葉は『そうですか』とそのときは納得したらしいが、相当ショックだったと思う。好きじゃないは仕方ないにしろ、今まで働いてきたのに『もう一緒に仕事をしても無駄』なんて言われたら、俺でも辛い」

それはわたしも、辛いと思う。
もし景さんに同じようなことを言われたらって考えたら、苦しくなる。無駄なんて、冷たい言葉は悲しい。

「だけどあれは礼香なりに考えて、吉葉を腐らせないために突き放した言葉だったんだ。自分のそばだけじゃなく、いろいろな経験をして成長してもらいたいって言っていたから。好きなんて感情ではなく、他の気持ちを持ってもらいたかったんだろう」

だとしても、景さんの気持ちを考えたらやはり辛かったんじゃないだろうかと、同情してしまう。彼は峯川さんのことを尊敬していたのだから。
わたしは奥歯を噛みしめた。

「だから礼香が海外に行った後、吉葉が自棄になって前の職場を退職したとき、俺が声をかけてやったんだ。価値があると思ったから。礼香の真意を教えてやって、MARK LINKに入ることを進めた。そんなことがあって、今はこうして吉葉と俺は一緒に働いてる。妙な縁だろ」
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