気まぐれイケメン上司に振り回されてます!
「峯川さんが言っていた“大事な話”っていうのは、その話だったんですか」

「そうだよ。付き合うとかの話をしていたわけじゃない。ただ、先週春ちゃんに聞かれたとき俺は感情的になっていたし、そんなふうに思っていたのかと動揺したせいですぐに答えられなかった」

景さんは視線を落とした。わたしもあのときのことにばつが悪くなって前髪を触る。
先週、景さんに勢いよくぶつかるように話してしまったことが恥ずかしい、と思ったところで重大なことを思い出す。

わたし、さっき『好きです』って景さんに勢いで言ってしまった……!

頬がいっきに赤くなるのを感じた。どうしよう、景さんはばっちり聞いていたはずだ。

伝える決心はしていたものの、混乱したまま言ってしまうなんて、と居た堪れない気持ちになって景さんから視線を逸らす。

すると、隣に座る景さんがわたしの顔を覗き込んできた。

「先週、賀上さんと春ちゃんの話を聞いて、焦りすぎていたなと土日で反省していたんだ。だから今日は、冷静に春ちゃんと話をしようと思う。あのとき聞かれたことにも答えたい」

真っ直ぐわたしを見つめる景さんに、わたしはコクリと首を縦に動かした。
そしてゆっくりと顔を上げて景さんの話を聞く姿勢をとる。

「春ちゃんがいなくても、作業はできるよ。全然問題ない。だけど、賀上さんに『吉葉から離れたらどうだ』って言われて、春ちゃんが言う通りにしたらって考えたら……すごく焦ったんだ。賀上さんの言い方も仕事の話に聞こえなかったし。俺のそばに来いとか、なんなんだよって思った」

景さんは目を逸らしてほんの少しムッとした表情になっていたけれど、すぐに和らいでわたしを見つめた。

「春ちゃんがアシスタントをしなくても、不都合はとくにないかもしれない。でも、俺から離れてほしくないって、あのときそう思った」
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