幼なじみの隣で不器用な恋を
「ごっ、ごめんね…。私だけで盛り上がっちゃってた…。男性のお客さんも殆ど居ないし、お店から早く出たいよね…。」
慌ててお店の出口へ向かおうとする私を、眞紘くんは引き留めた。
「俺のことは気にせず、ゆっくり見ろよ。」
「で、でも……」
「花奏が喜んでるのを隣で見てるだけで、俺は嬉しくて幸せな気持ちになるから。満面の可愛い笑顔、たくさん見たいんだよ。」
ポンポンと頭を撫でられ、向けられた優しい笑みにドクンと心臓が跳ね上がる。
顔から湯気が出そうだ。
「それに、俺としては…男性客が多い店に行くよりも、この方がマシ。他の男に花奏のことジロジロ見られんのもムカつくし。」
「そんな人、居ないと思うけど……」
「…………まあ、いいや。」
ん?
今、言葉を発する前に数秒の間があったような…。
気のせい、かな?
不思議に思っていると、眞紘くんは私と同じ目線に背を屈めた。