幼なじみの隣で不器用な恋を
「いや、移動教室だと席が近い授業もあるし、気付かれる可能性ゼロとは言えねぇけどな。」
「そ、そっか…。」
「でも、お揃いだって気付かれた時は花奏と付き合ってること、ハッキリと言うつもりだから。そこで変に誤魔化すのも怪しいだろ?」
「うん……」
それはやむを得ないよね…。
気付かれないことを祈るしかないか…。
「あのさ、花奏…。」
シャーペンを見つめていた私を、優しい声で呼ぶ眞紘くん。
視線を向けると、真っ直ぐ私の目を見つめていた。
「ここに到着した時、“後で話す”って言ったことなんだけど……」
「あっ、あの時の…。何?」
「花奏、この前…俺らが付き合ってること、“自分たちから積極的に打ち明けるのは避けたい”って言ってたよな?」
「う、うん…。」
「あの時、出来るだけ内緒にしたい…っていう花奏の気持ちを大事にしようと思って言わなかったんだけど、俺…本当は今の関係を秘密になんかしたくなかったんだ。」
私を映す眞紘くんの瞳。
少し恥ずかしげに揺れた。