幼なじみの隣で不器用な恋を
自分の作業の手を止めて見とれていると、視線を感じたのか、眞紘くんは私の方を見た。
「俺の切り方、変?」
「ううん、そうじゃないの。料理してる眞紘くんを見るのは新鮮で、かっこ良くて素敵だな…と思って。」
「あ、ありがと…」
少し頬を赤く染めながら呟く眞紘くん。
玉ねぎの影響からか、目が潤んでいて赤い。
「目、大丈夫?ハンカチか何か持って来ようか?」
「平気。それより、これが終わった後は…どうすんの?」
「えっと、他の材料と混ぜ合わせてタネを作るよ。」
「ん、分かった。」
眞紘くんは視線を玉ねぎに戻した。
あれ…?
今の眞紘くんの声、いつもより低めで素っ気ない感じだったような…。
気のせい、かな?
少し違和感を覚えながらも、気に留めずに料理を続ける。
ポテトサラダ、ハンバーグ、オムライス、そして余った野菜で作ったスープ、リンゴ。
時間は掛かったけれど、眞紘くんと一緒に作った誕生日メニューが完成した。