ラグタイム2号店
船の時間がくるまで、俺たちは近くの定食屋で食事をすることにした。

「私が本当に小さい頃なんだけどね、1度だけ家族みんなで旅行へ行ったことがあったの」

箸でとんかつをつまむと、静絵は言った。

「それが、月明島だったの?」

そう聞いた俺に、静絵は首を縦に振ってうなずいた。

「その島でやっていたお祭りに家族で参加したことがあったの」

静絵はその出来事を懐かしむような顔をした。

「楽しかったんだ?」

そう聞いた俺に、
「うん、楽しかった。

いつか――それこそ大人になった時、また行きたいって思った」

静絵が言った。
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