プリテンダー
翌日から僕は昼休みになると、自分の弁当を持って第2会議室に足を運んだ。

もう1週間になる。

ここでお昼を食べようと言い出したのは渡部さんだ。

渡部さんは朝が苦手らしく、自分で弁当を作る時間がないからと言って、いつも1階のコンビニで弁当やパンを買ってくる。

僕の作った弁当のおかずを物欲しげに見るから食べにくくて、仕方なく取り替えてあげたりもする。

そして食事の後はぴったりと僕に寄り添い、物欲しげに僕を見てキスをねだる。

正直言って食事の後にキスなんてしたくない。

それでも渡部さんはなかば強引に僕の唇に唇を重ねる。

僕は抵抗もせず、渡部さんのされるがままになっている。

渡部さんは体を使って僕を自分のものにしようとしているらしい。

勘違いもいいとこだ。

キスの後、渡部さんは体に触れてくれと目で僕を誘う。

気付かないふりをすると渡部さんは更に貪るようにキスをしながら、執拗に体をすり寄せる。

適当にあしらってあきらめてくれたらいいんだけど、これがなかなかしつこい。

だから僕はできるだけ早く解放されたくて、渡部さんの弱いところばかりを攻めてやる。

最後まではしなくても、とりあえずの欲求が満たされれば、渡部さんは満足そうだ。



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