プリテンダー
「真剣にな…。では君は、杏と結婚して、有澤グループのトップに立つ覚悟はもちろんあるんだな?」

……は?

なんの話?

有澤グループって言えば、外食チェーンとか大手食品会社を束ねる、国内でもトップクラスの大企業じゃないか!!

しかもそのトップに立てとか…。

これはドッキリか何かなのか?

怯む僕を、杏さんが睨み付けた。

こんな状況下でさらに猿芝居をしろと?

ええい、どうにでもなれ!

「杏さんからお話はうかがっております。僕はまだ若くて経験も浅いですが、管理栄養士をしておりますので、微力ながら御社のお力になれるかと。」

なんだそりゃ。

よくもまあ、そんな薄っぺらい無責任な台詞が出てきたもんだ。

そのアドリブ力に、我ながら感心する。

しかしこの猿芝居劇場は、いつになったら幕をおろすのか。

そろそろ、ここら辺で幕引きにして欲しい。

「杏!そんなパッとしない庶民の男のどこがいいんだ?約束通り、俺と結婚しよう!!」

幕引きどころか新しいキャストの登場だよ…。

というか…。

パッとしない庶民の男って…僕の事か?

改めて言われるとカチンとくる。

言っちゃなんだけどな、確かに派手ではないけど、それなりにモテんだよ!


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