プリテンダー
お祖父様と呼ばれた老人は、険しい顔をして僕を睨んだ。

すごいオーラだ。

ただ者ではない。

あ、なんかヤバイな、これ。

どうしようか?

頭をフル回転させて、うまくこの場を切り抜ける方法を考える。

杏さんはまた、すごい目力で僕に話を合わせろと促した。

これは一体なんですか?と尋ねたいのを精一杯堪えて、僕は姿勢を正した。

「君はなんだね?」

お祖父様はすごい威圧感を漂わせて、静かに僕に尋ねた。

仕方ない。

杏さんの言う通りにしよう。

「はじめまして。鴫野 章悟と申します。杏さんと結婚を前提にお付き合いさせていただいています。」

…こんなもんか?

杏さんは満足げに小さくうなずいた。

「ほう…。君が杏の言う婚約者だと…。」

お祖父様、めっちゃ怖いんですけど!!

こんな大役、ホントに僕みたいな若造で良かったのか?!

しかし杏さんの手前、ここで怯むわけにはいかない。

「ハイ、真剣にお付き合いさせていただいています。」

今すぐ逃げ出したいのを我慢しながら僕がそう言うと、お祖父様はニヤリと笑った。


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