すべてが思い出になる前に
「あの頃に戻りてぇ~」
「戻ってどうするんだよ⁉」
「えっ…そうだなー。関東大会決勝戦でボレーがアウトになって凄い後悔してるんだよな」
「優勝したんだからいいじゃん」
「あれが未だに心残りなんだよ」
「中学卒業して9年、高校卒業してもう6年も経つのか。あっという間だな」
校門の表札に手を触れた俺に、照史が声をかけた。
「肩の怪我は治ったのか?」
「あぁ…まぁな」
自分の右肩を左手で擦った。
高校時代は本格的にテニスでプロを目指していたが、肩の怪我をきっかけにプロの道を断念した。
翼はアメリカの大学にテニス留学。
照史は大学卒業後バレーボールの実業団へ。
そして涼太は元々薬学に興味があり、薬剤師の博士号取得して研究者になるため、それぞれ夢に向かって歩き出している。